お客様は神様か?(続き)

『お客様は神様です』
今度は本来の意味について言及してみよう。三波春夫は公演中にお客様から発せられる力を神様にたとえた。これは本来芸能というものが神に捧げる神聖な行事であった事から、三波がこの事をごく自然に捉えたという説には自分も十分頷けるものがある。
一つ気付いたのだが、プロであれアマであれ芸能に携わる者ならば演目披露の前後に必ず客席に向かって一礼する。あれは鑑賞しに来てくれたお客様に対する感謝の意を表すというよりも、実は神に向かって礼拝する意味合いの方が強いのではなかろうか。
そう考えると舞台で唄う事は観客(コンクールの場合は審査員含めて)の為よりも、自分の為、そして会場に降臨する神の為に演じる事の方が大事ではないかと思う。