日本民謡フェスティバル2009(5/24)まとめ

NHKホールにて。

結果は前の日記にも紹介した通りです。
優勝:力武杏奈「佐賀タンス長持唄」
奨励賞:日和かつ子「南茅部の鱈釣り唄」
同上:大塚有朗「お立ち酒」
(以上敬称略)

今回はいつになく激戦だったような気がします。審査員の方が話していた「声量や節回しだけでなく、唄の味を審査基準にしたい」という事からも、唄に込められた想いが伝わってくるかどうかが結果を分ける事になったのではないかと思います。優勝した「佐賀タンス長持唄」を唄った力武杏奈さんはとにかく笑顔が素敵でした。唄う事の悦びの想いが客席に伝わったのでしょう。また奨励賞に輝いた「南茅部の鱈釣り唄」の日和かつ子さんや「お立ち酒」の大塚有朗さんも唄の味わいや想いが客席に伝わったと感じられました。特に日和かつ子さんは独学で「南茅部の鱈釣り唄」を習得して相当苦労された事、迷惑を掛けつつも伴奏やお囃子で支えてくれた家族への感謝の気持ち、それが唄に込められて伝わったのでしょう。

自分はよく民謡全国大会のタイトルホルダーの唄を聴く機会があります。声量も節回しも素晴らしく上手いとは思うのですが、それ以外何も感じられない唄い手さんが多いのは何故でしょうか。その反面地元にいる民謡を習っていない素人の方が唄う素朴な唄に感動するのは何故でしょうか。確かにコンクールでは声量も節回しは重要な審査基準でしょうけれど、それ以前に唄に想いを伝える事が大切ではないでしょうか。コンクール出場者にはたとえそれが審査基準に入っていなくても、自分が一体唄で何を伝えたいのか何の為に唄うのかを心の片隅にでも置いて唄ってほしいと思います。「うたう」の語源は「うったえる」から来ているのですから。

今後は自分も唄う時や三味線・胡弓を演奏する時には、自分の想いを込めて唄ったり演奏したりするよう心がけたいと思います。